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エネルギー関連施設の見学レポートや各分野でご活躍の方へのインタビューなど、多彩な活動を紹介します

エム・エム・プラスチック㈱富津プラスチック資源化工場&バイオエナジー㈱城南島工場見学レポート【メンバー視察編】
資源循環とCO2削減をかなえる新しいリサイクル(再商品化)

持続可能な社会の構築に向け、資源循環とCO2削減が求められています。2025年10月20日、神津カンナ氏(ETT代表)とETTメンバーは、新たな資源循環型ビジネスモデルの創出に取り組むテラレムグループ株式会社*の子会社、エム・エム・プラスチック(株)富津プラスチック資源化工場(千葉県富津市)とバイオエナジー(株)城南島工場(東京都大田区)を見学し、リサイクル事業の現状や展望、課題を学びました。
*2021年、株式会社クボタと中部電力株式会社が資本参画し、首都圏を中心に廃棄物の収集運搬から再生事業まで手掛けるリサイクル事業グループ。

プラスチック製容器包装をプラスチック素材にリサイクル

JR東京駅から車で約1時間半、東京湾に面した工業地帯に広大な敷地を有するエム・エム・プラスチック(株)富津プラスチック資源化工場に到着し、会議室でビデオを見て説明を受けました。家庭から出されるごみの70%を占めるといわれる容器包装廃棄物(プラスチック製容器包装、紙製容器包装、ガラス製容器、PETボトル)の削減に向け、2000年に「容器包装リサイクル法」が施行され、消費者:分別排出、市町村:分別収集、事業者:再商品化の三者一体で取り組むことが義務付けられました。プラスチックをリサイクルする工場として千葉県で最大級、全国でも有数の規模となる当工場では、自治体、オフィス、工場などから使用済みプラスチック製品を受け入れ、プラスチック原料にリサイクルしています。

家庭から分別排出されたプラスチック製容器包装は、各自治体が収集して1m角ほどの立方体に圧縮梱包されます。当社のリサイクルの工程は、圧縮梱包されたプラスチック製容器包装をトラックで引き取るところから始まります。一旦構内の保管場所に積み上げた後、工場に運び込み、選別しやすいように「解砕機」で解きほぐした後、「光学式選別機」の赤外線センサーでポリスチレン(以下PS)、ポリエチレン(以下PE)、ポリプロピレン(以下PP)を選別します。PSは「減容機」で容積を小さくしてPS減容品という小さい塊に形を変え、外部販売しています。PE とPPはベルトコンベアで並んで送られ、それぞれ「破砕機」で細かく砕いた後、「比重差を利用した選別機」を通して塩化ビニールなどの異物を取り出し、純度を高めます。機械の中は水で満たされていて、かくはんすると異物は沈み、PEとPPは水に浮くので上澄みだけすくって取り出すことができます。その後、PEは「造粒機」に送られてペレットに形を変えます。PPも「造粒機」に送られて減容品とペレットに形を変えます。このように1日に約300万人が使った量に相当するプラスチック製容器包装を受け入れ、プラスチック原料に日々生まれ変わらせています。

また、PEとPPから製造したペレットを原料に、物流パレット(商品名:MMPパレット)を年間約10万枚製造できる製造工場を併設しています。パレットとは、荷物を載せる約1m四方の四角い台で、フォークリフトなどを利用して運ぶ際に利用されます。中心部を容器包装で集めたリサイクル材、表面部を品質が安定したリサイクル材やバージン材で覆う「サンドイッチ成形」により、通常のリサイクルパレットと比べて強度が高く、繰り返し利用できます。また、石油由来プラスチック製パレットと比べて製造時にCO2排出量が少なく、環境にやさしいパレットといえます。工場にはパレットの品質性能検査室も備え、落下強度・衝撃強度などを日々試験しています。これはリサイクルパレットの製造工場としては例がないとのことです。


■プラスチック素材リサイクルの工程

2022年4月、「プラスチックに係る資源循環法の促進等に関する法律」(通称:プラ新法)が施行されました。容器包装に加え、プラスチック製品を広くリサイクルしていくことが掲げられ、自治体はさまざまなプラスチック製品を家庭から回収してリサイクルすることが求められています。当社でもさまざまなプラスチック製品に対応するべく、さらに建屋を増設し、現在の2倍以上にリサイクル能力を増強する計画を検討中です。

【構内見学】
ヘルメットと音声ガイド用イヤホンを着けて構内に出ると、建屋が2つ見えました。正面のMMPパレット製造建屋は当日稼働していなかったので、自治体から引き取ったプラスチック製容器包装を扱う右の建屋へ歩いて向かいました。広い構内は車両優先で、トラックやフォークリフトが時計回りで走行しています。約4,300枚で約1,000MWhの電力を生み出す太陽光発電パネルも設置されているそうです。

構内には、圧縮梱包されたプラスチック製容器包装がたくさん積まれて並んでいます。主に首都圏を中心とした自治体から引き取ったものですが、北海道の札幌と函館から運ばれて来たものもあります。10年前に事故があって地元で処理できなくなったので、2025年度から引き受けることにしたそうです。再商品化事業者は国内に約100社ありましたが、人手不足、残渣処理費用の上昇、再商品化製品販売価格の低迷などの課題により、今では約40社まで減少しています。「ごみは増えるが再商品化事業者は減るという、厳しい状況になっている」とのことです。

工場に入ると圧縮梱包されたプラスチック製容器包装を積んだトラックが停まり、作業員の方々が受け入れ作業をされています。プラスチック製容器包装が運び込まれてからどういう工程をたどるか、順に説明していただきました。まず、「解砕機」で圧縮梱包を解きほぐします。次に「高磁力選別機」で、リサイクルできない金属類を磁石で吸い上げます。ショーウィンドーのように、リサイクルできない物が種類別に展示されていました。特に加熱式タバコ、ライター、リチウムイオン電池などは発煙・発火トラブルにつながるため、消費者もごみを捨てる際に注意が必要です。発火する物は工程に流さないようにしていますが、万が一発煙した場合でもスプリンクラーが稼働するので火災にいたるような火が立つことはないそうです。

リサイクルできるプラスチック製容器包装は複数台設置されている「光学式選別機」に通され、赤外線センサーで順番に異なる材料を感知し、はじき飛ばしていきます。①PE(ポテトチップスの袋など袋類が多い)→②PP(耐熱性があるので冷凍食品のトレーなど)→③PS(発泡スチロールなど)→④漏れがないように再度PPを飛ばした後、飛ばしきれなかった物は残渣としてはじき、固形燃料をつくる業者に運び込むそうです。機械音が鳴り響くなか、さらに工場の奥へと歩いて進み、細かく砕く「破砕機」や、減容品とペレットを製造する「造粒機」などを見学しました。「造粒機」の前には、製品形状見本の写真(○△×)が展示されていました。社員の方は、現物を見れば品質の良し悪しがわかるそうです。最後に再び会議室に戻り、さまざまな種類のMMPパレットを見たり触ったり臭いをかいだりしました。廃棄物特有の臭いはなく、好みの色付けができるのもMMPパレットの特長だということがわかりました。


生ごみを発酵させたメタンガスを電気と都市ガスにリサイクル

次の見学先は、羽田空港に近い人工島の城南島にある、バイオエナジー(株)城南島工場です。到着後、会議室でビデオを見て説明を受けました。首都圏では大量の食品廃棄物が日々発生し、その多くはごみとして焼却処分されています。2001年、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(通称:食品リサイクル法)が施行され、食品の売れ残り、食べ残し、製造過程などで発生する食品廃棄物について、食品関連事業者(製造、卸売、外食等)に再生利用が促され、業種別にリサイクル率の目標が定められました。当社ではこの食品リサイクル法に基づき、日本で初めて生ごみを都市ガスにリサイクルする事業を展開し、現在は電気にもリサイクルをしています。

首都圏全域からトラックで運ばれてきた食品廃棄物は「受入ホッパ」で貯蔵します。搬入物の割合は事業系の一般廃棄物:80〜90%(コンビニ、スーパー、レストラン、百貨店、商業施設などで包装された食品)、産業廃棄物:10〜20%(セントラルキッチン、弁当惣菜製造工場、パン工場、清涼飲料水工場ほか)で、家庭由来の生ごみの搬入は現在ありません。処理できる食品廃棄物量は最大130t/日で、約60万人が1日に排出する量に相当します。

受け入れ後は、大きさを一定にするために「一次破砕機」で粗く破砕し、続けて「二次破砕機」でさらに細かく裁断して選別しやすくします。次に「選別機」で割り箸、包装トレイ、紙類など、発酵に不向きな食品以外の物を取り除きます。それらは「不適物ホッパ」に貯蔵し、二次処理先に向けて場外搬出しています。このように異物の除去工程を機械化できているため、当社では加工食品やコンビニ弁当を手作業による分別がされないままでも受け入れてリサイクルすることが可能という特長があります。細かく裁断された食品廃棄物は「調整槽」で発酵しやすいよう調整された後、「メタン発酵槽」(約2,000㎥×2基)で約30日間発酵させます。安定発酵させるため、人の体温と同程度の中温発酵帯を保っているとのことです。

「メタン発酵槽」では、自然界に存在する微生物(メタン菌)で有機物を分解してバイオガス(メタンガス:60%前後、CO2:40%前後)を発生させます。発生したメタンガスは天然ガスの約1/2に相当するエネルギーを持ち、「ガスホルダー」に集められ、「ガスエンジン発電機」を動かして電気をつくります。1日の最大発電量は40,560kWh、およそ4,000世帯分をまかなえる電力に相当し、100%電力会社へ販売しています。会議室には現在の発電量が表示され、約1,500 kWが発電中でした。また、発電時に出る熱はコージェネレーションシステムにより、施設内で「メタン発酵槽」の加温や、汚泥の乾燥に利用しています。さらに、発生したバイオガスは都市ガスとしても利用できることを東京ガス株式会社と確認しています。ガス供給量は1日最大2,400㎥、およそ2,000世帯分をまかなえる量です。メタンガスの原料となる食べ物は、大気中のCO2を吸収して育った有機物からつくったものなので、メタンガスを燃焼してエネルギー(電気、熱、ガス)をつくる際に大気中にCO2を放出してもCO2の増減に影響を与えず、「カーボンニュートラル」が実現できます。

「メタン発酵槽」でバイオガスを発生させた後の消化液は「脱水機」にかけ、廃液と固形物に分離させます。廃液は生物学的脱窒素プロセスという方式で、窒素成分を無害な窒素ガスにして大気中へ放出します。窒素を取り除いた廃液は水処理し、下水道に流します。分離した固形物は、乾燥後に堆肥化またはセメント原料や燃料として100%リサイクル処理しています。

「バイオエナジーの設備は、食べ物を食べてエネルギーに変える、人のからだをモデルにつくられているから環境にやさしい」と、わかりやすく説明がありました。食べ物を口で噛み砕き、異物を取り、胃の中で弱酸性のドロドロした状態で溜め、小腸・大腸でエネルギーに変え、吸収するという人間の消化システムと、メタン発酵システムは類似しています。また、メタン菌が食べてくれないと発酵が進まないので、ビン類や段ボールは受入不可、マヨネーズやドレッシングなどの油ものや塩分も多過ぎると胃腸の調子が悪くなるように、メタン発酵でも安定した発酵が難しくなると伺いました。


■廃棄物処理フロー

【構内見学】
建屋の前に、トラックを停める金属の台貫(だいかん)が設置されていました。食品廃棄物を積載したまま積荷の重量を計れる大型計量器です。工場は24時間365日稼働しているので、ドライバーが建屋の壁に設置された機械にカードをかざすと、登録されたトラックごと自動で重量が計れるしくみになっています。建屋の中に入り、トラックをバックで入れて食品廃棄物を下ろす「受入ホッパ」を見学しました。トラックが入っていない時はシャッターが自動で閉まるそうです。「受入ホッパ」は3カ所設けられ、それぞれ蓋の開き方が異なっています。一つの蓋が開いた状態で、食品廃棄物が入っている様子が見えましたが、建屋上部から臭気対策の甘い香りが定期的に噴出されているせいか、臭いは感じられませんでした。

建屋の隣には、八角形で高さのある「メタン発酵槽」が2基並んでいるのが見えました。その手前の建物には「ガスエンジン発電機」が入っているとのことです。後ろを振り返ると「都市ガス製造供給設備」がありましたが、メタン菌が生み出すバイオガスは生物由来であるゆえに成分が不安定で、都市ガスとして品質を一定にするためには多くの工程が必要になるそうで、見学当日は調整中でした。「食品廃棄物は季節によって種類が異なるので、メタンガスの品質を一定にするのが難しいのでは?」とメンバーが質問すると、例えば夏は足が早いものが多くなるので、工場のオペレーションで調整をしていると答えられました。本日は資源循環とCO2削減をかなえるリサイクル施設を2カ所見学するなかで質疑応答も活発に行われ、消費者として日々のごみ出しから環境問題まで改めて考えさせられた一日となりました。

視察を終えて

東京は23区あるがそれぞれ、ゴミの収集方法は異なる。ゴミの焼却場の規模や形などが違うのだから致し方ないが、それが全国規模となると大変である。
それも世の中は家庭ゴミだけではない。事業ゴミもあるし、その事業も職種によって多岐に亘っている。だいたい日本国内には1,700ぐらいの自治体があるそうだし、それらのルールは微妙に違うのだから、ゴミから再利用できるものを取り出すのは大変な作業である。今回の視察はETTならではの生活に密着した見学会だった。ゴミの排出量は年々減っているとはいえ、だいたい年間、東京ドーム110杯分という。今回はその中からプラスチックを取り出す方法や、色々なものを作り出したり、エネルギーに変えたりする工程を学んだ。
エネルギーを作る現場を見るのも大切だが、エネルギーを使った末の、私たちの暮らしと直結している「ゴミ」の行方を考察するのも重要だとしみじみ認識した。
誰だってゴミの行く先を考えたくはないだろう。もちろんプラスチックゴミの問題やら、生態系への影響だとか報道されているから考えている人も多いだろう。しかし、私たちも自分たちが出したゴミを、ゴミ収集車に入れてしまえばすっとして忘れてしまうのが現実だ。けれども私たちがすっとしても、ゴミにはその後、大変な「旅」があるのだ。その大変な「旅」を今回は見せられた。
すさまじい音がするために、イヤホーン越しで説明者の話を聞き、運び込まれた夥しいゴミの山を見ながら、あらためてさまざまなことを考えた。
LCA(ライフサイクルアセスメント。製品やサービスの原材料調達から製造、使用、廃棄に至るまでの環境影響を評価する手法)的に考えれば、ゴミには私たちの「廃棄」の後にも、ゴミ減量化のための再利用という旅がまだ続くのである。
しかし「旅」は大変なことが良く分かった。粉砕や分別、どれをとっても危険を伴う。私たち消費者ができることは、仕分けをきちんとすることと、リユース商品を率先して使うことである。ゴミはゴミではない。私たちの求めたものを与えてくれた入れ物なのである。エネルギーをかけて作られた「もの」なのである。
ゴミと言ってはいけないのかもしれない。その新しいネーミングを考えながら、暮れかけた見学バスに揺られた。

神津 カンナ

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