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のべおか男女共同参画会議21

《日 時》
2025年11月2日(日)13:30〜15:10
《会 場》
カルチャープラザのべおか ハーモニーホール(宮崎県延岡市本小路39−1)
《テーマ》
3.11から15年目の課題―『エネルギーの未来』

3.11から15年目を迎え、社会や人々の意識が変化していくなかで、「エネルギーの未来」をどう考えていくべきなのでしょうか。「世代間ギャップ」をキーワードに、社会学がご専門の開沼博氏(東京大学大学院情報学環 准教授/東日本大震災・原子力災害伝承館 上級研究員)にお話しいただきました。

講演 3.11から15年目の課題―『エネルギーの未来』

第1部:男女共同参画の世代間ギャップ―社会の変化と意識の差を可視化

私の専門は社会学で、東日本大震災・福島第一原発事故や環境・エネルギーをメインに活動していますが、7年ほど上野千鶴子ゼミ(ジェンダー論・ケア論)でも学んできました。エネルギーに関しても、性別・年代・立場に関わらずいろいろな人が考え、意見を出し合い、すり合わせをしていくことが大事だと思っています。今日は「世代間の差」を見ながら現状の課題と可能性を知るため、前提として男女共同参画についての話をした上で、若い世代はどう考えているかにフォーカスを当ててエネルギーの話に移ります。

①M字カーブの台形化と働き方の変化
「M字カーブ」とは年齢別に見た女性労働力率のグラフのことで、1975年に20歳前後だった人は20代前半から働き出し(1つ目の山)、24歳ぐらいで仕事をやめて家庭に入り、子育てが落ち着いた40代から生活や子ども、老後にかかるお金のための合理的な選択としてパートで働き出したり専門職に職場復帰したり(2つ目の山)、グラフを見るとMの形になります。2000年に20歳前後だった私の世代は労働力率が上がり、キャリアを積みたい女性が30代前半で一旦仕事をやめ、5〜10年抜けてしまうとデメリットになることが問題と言われてきました。ところが2023年に20歳前後の人になるとM字カーブが解消して台形化し、子育て期の落ち込みがなくなっています。制度・職場整備で女性が働きやすくなり、継続就業が標準モデルに社会が変わりましたが、高齢出産が増え、子育ても親の介護も負担がかかるなかで必死に働いている現実があります。


■女性の年齢階級別労働力率(M字カーブ)の推移  


②共働き世帯の主流化(専業主婦世帯の約2.5倍)
2024年には共働き世帯が1980年比で約2.5倍に増えている一方、減少傾向が続いていた専業主婦世帯は今やほとんどいません。理由としては、男女共同参画社会基本法の施行(1999年)により女性も働きやすくなったことと、経済的にそうせざるをえないことの両方がありますが、重要なのはこれまで専業主婦が担っていた家事・育児の再配分が必須になり、夫や祖父母、あるいは地域で家庭を見守っていくべきという話になってきています。

③若年層の価値観の多様化と役割意識
「職場では女性は男性をサポートすべき」という意識は、2024年の調査でも若年男性(18〜26歳)が最も高い肯定率で、さらに若いZ世代男性では約30%(同世代女性の1.5倍)が「平等推進の取り組みはやり過ぎ」と回答しています。意外なことに若年女性(18〜20歳)も「男は仕事、女は家庭」の賛成率が3割近くあり、中高年女性よりもわずかに高くなっています。若年層の意識が良い悪いではなく、男性は将来不安やモデル不在、女性は賃金格差やケア負担の偏りなど、背景を踏まえた上での対策が必要です。

④ライフコース選好の変化(両立コース増加)
未婚女性の理想のライフコース(両立/再就職/非婚就業/専業主婦/DINKS)構成比で、2022年に初めて「両立コース」が最多(34.0%)になりましたが、やりたいことと現実とのギャップが課題になっています。特に女性に負担が大きくかかっているのが「育児参加」です。男性の育児休業取得率は2010年:1.38%→2023年:17.13%まで上がりましたが、平日の家事・育児時間(1日あたり)は共働き世帯の夫:45分/妻:4時間23分で約6倍の差があり、不足を実感していることがいろいろな調査に表れています。一方で男性には長時間労働の慣行が根強く残り、ケア文化の不足や、制度利用への心理的障壁といった課題もあり、対策として時短・フレックス制度、テレワーク環境、ピア(1対1)支援グループが実施されています。

⑤気候・エネルギー意識の世代間ギャップ
エネルギーの問題でも、「高齢世代の想定」と「若年世代の現実」の世代間ギャップを理解し直さないといけません。若い人たちの価値観(規範・期待・前例)、制度(しくみ・ルール・組織)、現実の制約(資源・時間・環境)を理解しつつ、立場の違いを前提に“重なり”を見つけ、論点を分解→比較→再設計すべきということを、男女共同参画の基礎的な新しいデータを入れながら話しました。


第2部:エネルギー問題と世代間ギャップ―3.11&エネルギーへの認識

若年層のエネルギー意識は?
エネルギーも世代によって意識や課題が違います。3.11が記憶にある世代は「原子力発電は怖い。火力発電を動かしたらCO2 が増えて大変なので、5年前くらいからカーボンニュートラルが言われ出した」という認識ですが、15年前の3.11の時に物心がほぼついていなかった、今の中高生ぐらいの若い世代は、思春期を迎えて社会問題に目覚めるタイミングで環境活動家のグレタ・トゥンベリさんがCO2 排出は悪いと訴えたり、トランプ大統領がCO2 排出規制を撤廃して批判されたりしたのを見て、「化石燃料はすごく悪い、危ない」という意識があります。「反火力。再エネはすごくいい。原発は是々非々だよね」が、あと数年で社会人になる中高生のエネルギー意識で、私たちとはだいぶ違う感覚であることが調査をしてわかりました。

2024年度中高生環境・エネルギー意識調査  


「○○電力福島第一原発」 ○○に何が入る?
私は「福島学:3.11後の課題発見と解決のサイクルづくり」という研究をしています。「福島学カレッジ」(中高生表現型探究&研究型探究実践プログラム)では、福島でどういう労働環境や生活感があるかなど、いろいろな人と交流するなかで中高生と一緒に課題を発見し、調査、発表しています。3.11から15年で変化した意識や問題構造を捉え直さないと別のものを見ながら議論していることになり、「エネルギーの未来」の話はまとまりません。そのためにも若い世代と考えることが重要です。2024年3月、福島と東京の高校生計913名に「福島第一原子力発電所の経営母体」を8択問題で聞いてみたところ、「東京電力」と認識できた人は約5割しかおらず、福島と東京の高校生の正答率に大きな差はありませんでした。また、事故概要を「メルトダウン」と認識できた人は約4割しかなく、東京の高校生の認知度(42.1%)が福島の高校生の認知度(28.0%)を大幅に上回りました。実体験がないと認識がぼやけてしまう、「体験する」ことはすごく大事だと調査を通じて痛感しました。今の中高生や、その下の世代にとっては、福島第一原子力発電所の事故は応仁の乱と同じ、歴史の一部分になっているのかもしれません。


■福島・東京の高校生 福島第一原子力発電所の運営主体の認知度  


若い世代とともに考えることが大事≒学校教育が大事
このアンケート調査をやろうと思ったのは私でなく、「福島学カレッジ」に参加した東京の高校生が「福島第一原発の事故について周りの同世代は知らないし興味もないのは問題だと思う。どの程度把握しているのか?」と疑問を持ったことがきっかけでした。調査結果は新聞記事になり、ショックを受けた復興庁の副大臣や幹部の方達が聞き取りに来てくれました。エネルギーについて若い世代とともに考えるために、私は学校教育が大事だと思っています。メディアも大事ですが、若い世代はYouTubeなど自分が興味のある情報しか見ません。今、中学・高校の教育は「大学っぽく」なってきていて、「探究(研究っぽいこと)」が必修です。主体的・双方的(対話的)な学び、自分がどういう課題意識を持っているのかを明確にして、自分が何をやりたいのか、何を考えるのか、未知の問題に自らの手で対応する力を付けていきます。これこそがエネルギーについて考える機会にもなります。先程ご紹介したアンケート調査もまさに同じで、随所で指導はしましたが、彼自身が周りのいろいろな人の力を借りながら学んでいきました。

教育のあり方のもう一つの変化として、今、大学入試の約半分はペーパーテストだけでない総合型選抜で、さらに拡大しています。高校までに学んできたこと、社会に出てやりたいこと、そのために大学で学びたいことをアピールする総合型選抜で入ってきた人、つまり主体的・双法的に学べる人のほうが優秀で、社会に出て活躍できることがわかったからです。日本をはじめ先進国の大学でやっていることは「教育・研究の一体化(フンボルト理念)」です。研究とは自分で問いを立てることから始まります。自分で問いを立て、自分で解くトレーニングをやっておくと、社会が激変してこれまでの答えが通用しなくなった時に役立つことがあるから、未知の問題に挑む力が必要だと考えられています。私たちはすでに温暖化という問題に直面していますが、この先、それを超える未知の問題や社会が激変する大災害が起きるかもしれません。エネルギーの未来も、これから何十年も生きる若い世代の感覚を取り入れて、これまでとは違う視点でどんな課題があるのか一緒に考えていくことが大事で、そうしないと解決しないのではないかと思います。 



開沼 博(かいぬま ひろし)氏プロフィール

東京大学大学院情報学環 准教授/東日本大震災・原子力災害伝承館 上級研究員
1984年福島県生まれ。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。立命館大学准教授等を経て2021年4月より現職。他に、東日本大震災・原子力災害伝承館上級研究員、ふくしまFM番組審議会委員、東日本国際大学客員教授。

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