
シニア対象のリカレント教育に携わる傍ら、ネイチャーガイドや山岳ランナーとしても活動しています。里山で薪を拾って焚き火をしたり、アルプスの山々を駆けまわっているのですが今年、何度もツキノワグマに遭遇しました。また2022年には、知人が埼玉県秩父山中でクマに襲われました。ネットのニュースでも、クマの人里出没や人身被害のニュースがあとを絶ちません。
私は専門家ではないためエビデンスも持っておらず、肌感覚でしか語れませんが、以下のことが幾つも重なってクマが里に下りてきていると考えています。
1. 食べ物が不足、あるいは変化
餌となるブナやナラの実が不作でクマが生活圏を広げている。人が山を管理しなくなったことや、温暖化が影響しているかもしれない。
2. 人里や里山の状況が変化
地方の過疎化、少子高齢化、耕作放棄が進むなか、かつて人の手が入っていた場所がクマにとって「居心地の良い空間」になってきているのかもしれない。
3. 人間への警戒心が低下
レジャーで山に入る機会が増え、人馴れしたクマが増えている。あるいは里で簡単に食べ物を得られる経験をし、危険を恐れるよりも「得られる報酬」を優先するクマが増えているのかもしれない。そもそも撃たれる心配がなくなったクマが人間を恐れる理由がない?
4. 投資目的の安易なメガソーラー建設
ツキノワグマは「山裾~中腹の落葉広葉樹林」を好み、そこが切り開かれると、別の餌場や安全地帯を求めて人里方向に移動する可能性もある。それとは逆に、管理の悪い発電所では低木性植物(ヤマブドウやクズなど)が増え、クマにとって魅力的な餌場が人里近くにできてしまうこともある。
冒頭にあげた仕事以外にも、アルバイトで太陽光発電所の点検作業を行っているのですが、クマの痕跡が至るところに見られます。手入れを怠って、全面クズに覆われてしまっている施設も少なくありません。投資目的で設置したのに、意外と手間のかかるパネル管理にはコストをかけたくない傲慢な経営には閉口するばかりです。
クマが頻繁に里に下りてくる直接的な原因はわかりませんが、人間の経済活動に起因していることは容易に想像できます。クマとの共存…この簡単な言葉も、それを目指すには私たちの生活圏を見直さねばなりません。山林の無駄な開発はやめる、開発する際には動物の移動を妨げないような環境づくりをする、クマが人里に降りてきた場合には駆除するのかどうするかしっかり議論してルールを作っておく、クマに食べ物を与えない(観光客)、ゴミを適切に処理するなど、社会全体でクマを避けるための対策を講じることが大切だと思います。
(2025年11月)