
弘前市立小・中学校の校舎は建て替え期に入っています。その背景には、戦後のベビーブーム期に建設された校舎が築50年以上経ち、老朽化が目立つようになったこと、学校のIT化への対応や、災害時の拠点施設として学校が注目されていることなどです。
先日、弘前市立某小学校の「建て替え報告会」が開かれ参加しました。新校舎の間取りなどはほぼ決まっており、少なくとも現校舎とは比べ物にならないほど使い勝手のよい校舎になると思われました。
せっかくの機会なのでいくつか質問しました。まず「ZEB*1 は金額的に高いことなどから新校舎はZEB Ready*2 とし、将来的にはZEBを目指すと説明されました。しかし、いずれの学校でもハード面は新築時から耐用年数が過ぎるまで、大きな改築などは行っていないように思われます。それを踏まえるならば、新築時にZEBを具現化しなければ、実現は不可能に近いと思われますがいかがでしょうか」については、新校舎は現校舎に比べ一次エネルギー消費量が約52%減になるとの回答のみで、質問への回答は得られませんでした。
もう一つ、省エネについて「太陽光発電の費用対効果の視点から見ると
100年程度かかる*3がそれでも太陽光発電を設置する意義はどのようなことでしょうか」と質問しました。設計事務所からは「費用対効果はその通り」、ただ「それだけを考えるのではなく、ゼロエミッションも考えるべき」という返答で、太陽光発電設置の意思は変わりませんでした。
最初の質問では、築50年以上の現校舎を基準にすることには違和感があります。基準値を現校舎とする規則は理解しつつも、新築建物のため「約52%減は当然でしょう!」というのが素直な感想です。
2つ目の質問では、雪国の弘前市では夏季の発電量は見込まれますが、冬季の発電量はほぼゼロ(冬季の暖房は主に灯油で賄う)で、設計事務所の回答であるゼロエミッション実現はかなり難しい状況です。私はゼロエミッションを無視/軽視しているわけではありませんが、かたくなに太陽光発電にこだわる理由は何なのでしょうか。例えば「現時点では費用対効果の面から太陽光発電は設置しないが、より効率の高いソーラーパネルなどが開発された際にはそれを設置する」などの考えを受け入れ、行政も予算措置を行うなど柔軟な対応が望ましいように思います。何とも後味の悪い報告会でした。
*1 ZEB (ゼブ)とは、年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの建築物
*2 ZEB Ready(ゼブ レディー)とは、再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減に適合した建築物
*3 参照:ETT「私はこう思う」、「No!を選択肢に加えよう」(2021年1月)
(2025年11月)