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イオンビーム育種で生まれた、めちゃすごい「お米」

市川まりこ氏 mariko ichikawa
食のコミュニケーション円卓会議代表

絶対安全な食品はないということをご存じの方は多いと思うが、私たちが食べているお米に、有害なカドミウムや無機ヒ素が微量ながら含まれていることをご存じだろうか? 日本の米には、土壌に由来するカドミウムや無機ヒ素が国際基準を上回る高濃度で含まれることがあり問題となっている。

幸い、なるべく汚染物質の少ないお米を食べたいという私たちの願いが近いうちにかないそうだ。お米に含まれるカドミウムと無機ヒ素を同時に低減するために、イオンビーム育種*1 という日本で生まれた技術によって新品種「コシヒカリ環1号」*2 が開発され、まもなくその性質を受け継いだ「あきたこまちR」*3 が、全国に先駆けて2025年に秋田県に登場する。

イオンビーム育種とは、イオンビームを使った新しい放射線育種技術である。放射線育種は、自然界でも起きる突然変異を積極的に利用するもので、50年以上も前から多くの農作物の品種改良に使われてきた。日本人のカドミウムと無機ヒ素の摂取量を大幅に減らして健康リスクを確実に低減できるだけでなく、日本より厳しい基準値を定めているEUや香港、シンガポールなどの海外への日本のお米の販路拡大も期待されている。ところが、昨年春から「放射線」の不安を煽るネガティブキャンペーンが始まり、SNSなどで誤情報が拡散され、農家への誹謗中傷まで起きていると報道されている。

「あきたこまちR」のような新しい技術の恩恵が社会に届くためにはどうすれば良いのか、まずはその技術の意義を共有することからスタートだ。私たちひとり一人が、誤情報に振り回されないこと、誤情報を鵜呑みにして不安や誤解をまわりに広げてしまわないことがとても重要だと思う。

詳しく知りたい方へ
食のコミュニケーション円卓会議は2024年7月4日に開催された第61回アイソトープ・放射線研究発表会で「イオンビーム育種で生まれたカドミウム低吸収米について事実を知ろう」と題した公開パネル討論を行い、その講演要旨とプレゼン資料をHPで公開中。


https://food-entaku.org/posts/news32.html

*1:イオンビーム育種
https://www.werc.or.jp/outline/soshiki/kenkyu/leaflets/PDF/4.pdf

*2:コシヒカリ環1号 https://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/magazine/188/mgzn18804_6.pdf https://wedge.ismedia.jp/articles/-/30668?layout=b

*3:秋田県公式サイト 美の国あきたネット 水稲新品種「あきたこまちR」を紹介! https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/73119

(2024年11月)

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