
<コンピュータなんか役にたたんよ。答を出してくれるだけじゃないか>
パブロ・ピカソ(スペインの画家)
ニューヨーク市の友人ヴオコはフィンランド系アメリカ人だ。娘のアマンダはフィンランドに留学中だが、紙のノートと鉛筆で授業を受けている。フィンランドは10年前から完全デジタル教育を取り入れ、高い成果を上げてきた。と聞いていたが、最近学力に翳りがでたそうだ。教育機関は詳細な分析を待たずに、即完全アナログ教育に切り替え始めている。生徒はパソコンを一切使わず、スクリーン授業も撤廃された。先生は模型を見せ、黒板に数式を書いて教えている。アマンダは「パソコンなしの宿題はすごく楽。板書でイライラがなくなったわ」と喜んでいる。
娘の影響でヴオコも8年ぶりに大型モールでアナログショッピングを楽しんだそうだ。「ネット注文では試着もできるのよ」こう言っていた彼女とは思えない。庭に花をたくさん植えて、花友達と実際に会って話をしている、と言うのでさらに驚く。
ひるがえって産業の世界ではいかに電力を使い無人でモノを動かすかが、生き残りをかけた闘いとなっている。エネルギー・レビューによると、ワイヤレス給電は予想を超えるスピードで実用化されつつあるようだ。近い将来電車やバスがワイヤレスで走行する勢いである。この分野の研究論文を読むと、ロボットだけでなく、なんだかあらゆるモノが無線で動き出すような気がする。その時人間は地蔵になるのか、全く予想ができない。
進行中の電力が支える産業デジタル革命は、目に見える速度で人々を支えている。その状況下で起きている若者のアナログ回帰は何かの警鐘だろうか。いつの時代も若者は新しい時代を創っていくのである。
今学期の大学で私はパワーポイントを最小限にし、巨大な赤血球や胃袋の模型を使って講義した。学生の提出物も手書き必須にしたのだが、さて期末試験の結果はいかに?
(2025年8月)