日常の生活とエネルギーを常に結び付けて暮らしている人は少ない。
「中部エナジー探検隊」は、この17年間、エネルギー問題を身近に考える講演会を開催してきた。
「放射線」「節電作戦」「宇宙からみた人のいとなみと地球のあした」「惑星とエネルギー」「地球温暖化」「風評被害」「貞奴と福澤桃介」と多様。エネルギー資源の出入り口である「名古屋港」で、浚渫(しゅんせつ)兼油回収船「清龍丸」の見学を含めた親子での勉強会。「エネルギー・ハーベスティング」の観点で下水熱利用を学び、エネルギーをテーマに旅をする「エネルギー・ツーリズム」も愉しんだ。みなで企画会議をする時、メンバーの名城大学水尾教授の考案はいつも心強かった。
これらテーマの設定のベースにはETTでの勉強会がある。ここでは、世界の中での日本の立ち位置、政府のエネルギー政策、有益だが気の遠くなるような地道な研究開発、学者の意見、特定のエネルギーに依存しないでエネルギー自給率を高めようとする模索、SDGs・カーボンニュートラルの真偽など、個人では知り得ないデータや、世に開示された情報を鵜呑みにしないで、冷静に判断をしようとする姿勢が貫かれている。
いまや多くの分野で生成AIが導入され、AIが人間にとって代わろうとしているが、その消費電力量は膨大で、CO2の排出量が多いことには気づきにくい。小笠原諸島南鳥島海底でレアメタル鉱物資源マンガンノジュールが発見されたというニュースもあったが、喜んでばかりはいられない。
目まぐるしく変化する時代である。
「中部エナジー探検隊」はETTをはじめとして、専門的なデータ・情報を得て、エネルギーリテラシーの知見を高め、「本当にこれでいいの?」という問題意識をもちながら、これからの生活のあり方の参照点となるテーマに挑みたい。隠れている課題にチャレンジするのは面白い。
人を幸せにも不幸にもするエネルギー。そのテーマはこれからも果てしなく続いていく。
(2024年7月)